年収2500万円専属産業医の給与明細

年収2500万円専属産業医のプロフィール
①年齢、医師何年目か?
30代、医師10-15年目
②性別
男性
③診療科、役職
専属産業医
④医師関係の保有資格(専門医など)
総合内科専門医、社会医学指導医・専門医
⑤開業医or勤務医orその他(産業医など)
産業医
⑥年収(給与明細時点での税・ボーナス込み年収)
合計2482万(産業医年収1140万(週4)、定期非常勤先805万(週1.5)、他スポットバイト)
⑦労働時間(週何日、1日何時間)と日直・当直回数(月平均)
週4産業医勤務、週1.5日定期非常勤。
たまにスポットで当直や、産業医先の有給を使ってワリが良いスポットバイトを見つけて行っていました。
⑧残業時間(月平均)、残業代は出るか?
産業医先での残業なし(0時間)
⑨伝えたいこと
専属産業医の給与水準は低いと言われますが、明細には表れない福利厚生が手厚かったり、
バイトOKのところも多く、やり方次第では一般病院の勤務医より収入多くなります。
年収2500万円専属産業医に質問してみた
①なぜ産業医になった?きっかけは?
産業医を目指したわけではなく、臨床・研究で挫折したために、バイト先の嘱託産業医から専属産業医となりました。
②これまでの経歴は?
卒業大学とは違う大学病院研修医→国立病院後期研修医→大学院→専属産業医
③1日の仕事の流れと仕事内容は?
8:30出勤、9:00始業、1日のうち1~2時間は会議や職場巡視など法定の産業医業務
社員との面談2~3件(1件10~30分)
他はネットサーフィン、勉強(英語、会計、資産運用・投資、MBAなど)をしていました。
よく勘違いされる「健康診断」や「社内診療所での診療」は産業医の業務ではないため、行っていません。
④産業医としてやりがいを感じる瞬間はどんな時?
健康管理に関する新しいプロジェクトや健康管理システム・スキームを一から作り上げた時はやりがいを感じました。
それ以上にやりがいがなくなる、やる気を損なうことも多く経験しました。
メンタル不調や生活習慣病対応など、「なってしまった人」の事後対応(リアクティブ対応、もぐら叩き)であることが多く、職場巡視なども「荒さがし」のような感じで建設的ではありません。
一人産業医(企業・グループ内で1人しか産業医がいない)なので、孤独で仲間がいないのも原因かもしれません。
また他の医師と話す機会でも、産業医に関する誤解や偏見を強く感じたこともやる気を損なう一因となっていたように思います。
「でもしか先生」と言って、「産業医でもやるか、と軽い気持ちでやってる医者」や「産業医しかできないような問題のある医者」という偏見を感じ、他の医師から見下されてる感覚がありました。
⑤将来の夢や目標はある?
産業医を経験し、企業で働くことで、医師の社会人としての問題点・未熟さを感じる一方で、視野も広がったように感じます。
企業やビジネスに関しても詳しくなりました。
資産形成もできたため(バイト代は全て投資)、今すぐにでもFIREできますが、まだ引退は早いと思って引退する気はありません。
ドクトレプレナー(医師+アントレプレナー「起業家」)という起業家が増えていますが、私も将来、何かしらの起業を目指すか、ベンチャー企業で働きたいという思いが少しあります。そのためMBAを取得しました。
⑥産業医は、会社に雇用されているため、復職判定などで会社寄りの判断をしてしまいそうな気がするが、実際はどう?会社から判断に対する圧力とかはある?
主治医=臨床医、特に開業医は一国一城の主であって、組織での経験も少ない人、法律の知識や社会人としての常識に欠けている人もおり、完全に患者寄りの立場なので、常識から外れたヒドイことを言ってくる先生もいます。
「会社のせいで病気になった、企業が悪い。」「配置転換させろ。」「明日から復職可。」「昼から半日勤務なら可」・・・居丈高な文言で、中立的・常識的に考えて無理な要求をしてこられて、跳ね返すと「会社寄りの判断だ」と言われてこじれることがあります。
丁寧に背景を説明しても、「個人情報だから教えられない」「(法律や常識、就業規則など)そんなこと知ったことか。(法律関係なく)
患者のためだ、医学的判断だから、復職させろ」となって、ヒドイ産業医扱いされることもあります。
また、会社側の人間も、人事やマネージャー(管理職・部長職)と話することが多く、大企業内で世渡り上手な彼らの中には、都合が良いように産業医を誘導したり、産業医の言葉尻を取る(チェリーピッキング)ような人も多く、「やられた」と思うこともあります。
⑦産業医資格の更新のために単位を取ったりするのが大変だと思いますが、実際はどうですか?
労働衛生コンサルタントを取ったので、更新不要です。
労働衛生コンサルタントは、専属産業医をしている場合は、比較的容易に取れる印象です。嘱託産業医の先生は落とされがちです。
⑧どれが一番面白い仕事だった?どういう点が面白かった?
様々な経験をすることがとても面白いです。ただ性格上、飽きっぽいのでしばらくすると飽きてしまいます。
フリーターで、北海道や東北、九州諸島部に1週間連続勤務していた時は、旅行感覚で楽しかった思い出です。
⑨大学病院研修医→国立病院後期研修→大学院→フリーター→専属産業医と色々経験してますが、年収推移はどんな感じ?
本業よりもバイトの可否によって大きく変動します。
大学や産業医でも外勤が許可制のところでは、暇で時間があってもバイトができなければ収入は少ないです。
フリーターで予定表をいっぱい埋める、移動時間も含めて無駄なくバイトを詰め込むことなどやりまくっていた時は3000万円を超えました。
「朝8:00当直終了→8:10の電車に乗って8:45に駅着→9:00~別のバイト先で診察」みたいにギリギリの予定でパズルのようにバイトを組んでた時期がありました。
⑩週1.5日定期非常勤っていうのはやはり内科外来?
週1が訪問診療:訪問診療はバイト代が高め。ただ、車移動で揺られる、不自然な場所・姿勢でカルテ記載(パソコン操作)をするので案外疲れます。
週0.5日が内科外来です。
11.「産業医先の有給を使ってワリが良いスポットバイトを見つけて行っていた」とのことですが、病院みたいに外来とかがないため、産業医は有給が自由に使いやすい?
有給は使いやすいです。年20日有給付与されても、社内・部内で「〇%以上取得しなさい」という通達が出るので、「取らなければならない」という雰囲気です。
また法律上は、有給取得の理由を伝える必要はなく、会社でも理由は求められません。管理職には「有給取得の理由を問いただしてはならない」というマネージャー教育がされているので、1週間連続有給取得しても問題なく認められます。
先にワリが良いスポットバイトを見つけて(1か月~数か月先)、そのあとに前もって有給を取得しています。
12.病院と比べると、産業医は福利厚生がいい?
会社員=産業医は年収に現れないメリットもあります。
・保険:一般健康診断ではなく人間ドックやワクチンやどもほぼ無料で受けれる。歯科は矯正でも補助が出る(子供の歯科矯正で半額出ました)。
・福利厚生:カフェテリアプランといって、ポイントが年間に5万円分ほど支給され、物品購入・旅行・英会話などの自己学習に使える。
・投資:持株会があれば結構いい。毎月金額指定で積み立てでき、10%程度の補助が付く(1万円なら1.1万積立ができる)、端株(1株未満の株のこと)
まで無駄なく変える、自動で配当金再投資される。投資した瞬間に10%の利回りがあり、また会社の配当3~5%も入る。
・住宅購入や家族の進学・冠婚葬祭で優遇があったり、お祝い金・弔慰金がもらえたりする。
13.産業医になって辛かったエピソードベスト3は?
1位:孤独。医師の中でのヒエラルキーは低く、偏見を持たれる。
産業医仲間は少ないです。また、産業医に関して知られていないことが多く、医師からも毎回似たような質問や相談をされることに辟易します。
「産業医って健康診断とかするの?」「社内診療所で従業員の診察してるんでしょ?」
「臨床医疲れたから産業医でもしようと思うんだけど、どうしたらいい?(でもしか先生)」
「メンタルとか法律とかわからないけど、〇〇科専門医として産業医したい。(産業医で臨床の専門とか関係ない)」
2位:レベルが低い人を相手にしなければいけない。
大企業で研究開発、マーケ、本社の企画部門の人は優秀な人が多い印象ですが、そのような人達は自己管理もできており疾病・メンタルなどで関わることはありません。産業医が一緒に働くアドミ部門(総務・人事)はそれほど優秀じゃない従業員が多く、レベルの低さに唖然とすることがあります。
一度、安全衛生のマネージャー(高卒、60歳ぐらいのオッサン)から「産業医ってお医者さんなの?」って聞かれたこともありました。
メンタルの従業員も思考認知の歪みがあったり、新型うつ病に代表されるような常識がない奴、いわゆる社会人としても、職場でも優秀ではない奴である割合が高くあきれることが多いです。
メンタルでこじれるケースは主治医もレベルが低い、社会常識や産業保健に対する理解がないケースが多く、バカの壁を感じます。
3位:予防・健康増進業務よりも、「もぐらたたき」が実際は多い。
「産業医は予防医学、従業員の健康を守る」みたいな文言は言われますが、実際の業務ではそのような健康増進に関わる企画・実行業務はほんのわずか(1割程度)で、法律に定められた業務(職場巡視や安全衛生委員会出席など、2割程度)と、ほとんどがメンタル不調や生活習慣病対応などに「なってしまった人」への対応(リアクティブ対応、もぐら叩き)の占めるウェイトが多いです。
ただ、これは普通の医師・臨床や大学病院でも、ルーチンワークが多く、研究などの先端的な業務に1~2割程度しか割けないということも経験してるので、ないものねだりなのかもしれません。
年収2500万円の専属産業医の給与明細を提供していただきました。福利厚生が手厚く、有給をとってバイトに行くことができるため、勤務医より収入が多くなるそうです。辛かったこと1位が「孤独」というのが印象的でした。産業医に興味がある方の参考になるかと思います。#医師の給与明細 pic.twitter.com/4QwPN7dQB7
— 医師の給料明細@買取募集中🐬 (@ishikyuryo) February 25, 2023
考察・感想
感想としては産業医は楽だが、孤独なのだと感じました。余程の大企業でなければ、専属産業医は1人であることが多いと思います。開業医や脱毛クリニックの勤務医と同様に、医師はたった1人なのです。何か問題があったときに医師視点で相談できる人はいなくて孤独を感じるのでしょう。
また、産業医の仕事は予防医療であり、やりがいがあるというイメージを持っていましたが、実際には病気になった人への対応が多いというのもイメージとは違った点です。
一方で、産業医は有給がとりやすく、有給をとってバイトに行ったり、会社の福利厚生を使って英会話などの自己研鑽をすることができるのは勤務医とは違ってとても魅力的だと思いました。企業という組織を内部から見ることができる貴重な機会なので、起業に興味があれば一度数年間産業医を経験してみるのもありかもしれませんね。
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